旅人と猫
光が消えるはとうの昔のこと
目を開け広がるは黒しかない世界
自らを包む匂いと音だけを 頼り
導かれていくように漂うように
擦寄る猫のぬくもりと 他には何もない
逃げているのかも探しているのかも
それすらも曖昧なまま歩いているのは
止まることすらもすでに忘れてしまったんだ
この歩みに価値などあるのだろうか
足を止めない理由はもう闇の中 消えた
顔をかすめた風の気配に手を伸ばす
触れたような触れてないようなそれは何だ
耳に響くはカラスの声 他には何もない
起きているのかも眠っているのかも
それすらも曖昧なまま生き続けてきた
逃げているのかも探しているのかも
わからずまだ望んでいる 光を見ることを
止まることすらも忘れて
また知らぬ街まで